毎日ニュースNo.500 魔の山に魅せられて(昭和39年)

若い人たちの心を魅了する夏山。数多い山の中でも特に人気のある谷川岳は毎年登山客がドット押し寄せ、日曜日には登山カードを書きこむ登山客の長蛇の列が出来ます。しかしこの谷川岳は痛ましい遭難者を多く出す恐ろしい山としてもその名を知られ、今年に入ってからすでに9人の若い生命を奪いました。地元の群馬県水上町では山開きを前に昭和6年の開山以来394人に上る遭難者の大慰霊祭を営みました。僧侶250人を先頭に地元山岳会員の人たちは町内をパレード、天神平に設けられた式場にはわが子、われらの仲間を失った遺族、山岳会の人たちが多数が参列、僧侶のとなえる読経が山あいにこだまし霊よ安らかれと祈ります。”魔の山谷川岳を観光宣伝に利用する商魂も活発です。ある私鉄会社では延長2.2キロメートルのロープウェーを頂上を目のあたりに見れる天神峠までとりつけて「ほとんど歩かなくても”魔の山”の気分が味わえます」と客寄せに懸命。水上温泉から連日観光バス、自家用車が列をつらねてやって来ます。間もなく本格的な夏山シーズン、無謀なカミカゼ登山に目を光らせる警備隊の人たちもいそがしくなります。


毎日ニュースNo.500 魔の山に魅せられて(昭和39年)

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